主人公、ケンタが爺ちゃんの命をかけての最後の頼み「幻の煮込みチャーハン」を探し求めて、様々な仲間達と出会いながら繰り広げられる冒険物語です。
- コメント–
- スタンプ–
- しおり–
「ッ…俺は……いつかッ…作ってみせる……あの伝説の料理……煮込みチャーハンをッッッッ」
…俺はケンタ。そうそう、急にびっくりさせてしまい、済まない…。こう決意したのは……そう、10年前の事だった。
俺は物心ついた時から、親は居らず、母方の爺ちゃんと暮らしていた。爺ちゃんは、親の居ない俺に、いつも優しく接してくれた。
「ケンタ…お前は立派な大人になるんだぞ……なんせ、この爺ちゃんの孫だからなぁ…」
そんな優しく接してくれる爺ちゃんは、時々、昔の事を話す。
「爺ちゃんは…昔、軍隊でシェフをしていた事があってな……その頃に作った、幻の料理があるんだ…」
「えー、教えて教えてッ」
僕がそう尋ねると
「お前には……まだ…秘密だ」
爺ちゃんはいつもそう返す。
でも、爺ちゃんは昔シェフをやっていた事もあって、爺ちゃんの作る料理はいつも、すごく美味しかった。幻の料理、とやらが気になるけど……
そんな事を思いながらも時は進んで行った。
ある日、いつものように朝起きて、顔を洗っていた。
(あれ…、いつもなら、爺ちゃんが作る朝飯のいい匂いがすんのに…)
台所を見ると、爺ちゃんは居なかった。疑問に思い、寝室を尋ねると、布団の上で、爺ちゃんが苦しんでいた。
「爺ちゃん…ッッ」
「ケンタ…か……、今すぐ…医者を……ッ」
爺ちゃんは苦しみながらも俺に訴えた。
すぐに山の麓の医者へ訪ね、家に来てもらい、爺ちゃんを診てもらうと。
「……今現状…治る気配はありませんね…」
医者は眉をひそめ、そう言い、帰って行った。
爺ちゃんは出された薬を飲んだものの、まだ苦しんでいる、俺はずっと爺ちゃんの傍に居た。すると爺ちゃんは俺の手に何かを乗せ
「…ケンタ……爺ちゃんは……もう歳だ、……人には……身を引かなきゃあならない事だってある………。後は…頼んだぞ………ケンタ……お前なら…できる…」
爺ちゃんはそう言い、間も無くして亡くなった。
たった1人の家族だった。爺ちゃんだった。
(…爺ちゃんが居なくなっては…、俺は…もう…、もう…)
涙をボロボロと流していると、さっき、爺ちゃんから渡された何かを握りしめている事がわかった。
「なんだ…これ……?」
握り締めているものは1枚の古びた地図だった。よく見てみると、そこには、でっかく言葉が書かれていた。そこには…
「……幻の煮込みチャーハン……の作り方……?」
(幻の……どこかで聞き覚えが……)
「…あ!!……まさか、あの時のッ……爺ちゃんが言ってた幻の料理!?
お前に頼んだ……、まさか、これを探しに行けと……でも、爺ちゃんの頼みなら…」
俺は、旅に出る事にした。そう、幻の料理…煮込みチャーハン、を求めて!!