黒の井――昭和時代は赤線(私娼街)だったレトロな街である。
迷路のように入り組んだ構造で、「ぬけられます」「ぬけられません」と書かれた看板が名物になっている。
この物語は、黒の井で働く男娼の「雪」を中心に据えて、「雪」の元に通いつめる男達の姿を描いたものである。
一人目は、永井公介。公立の中学校で…

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【ストーリー概要および物語の設定】


 黒の井――昭和時代は赤線(私娼街)だったレトロな街である。

 迷路のように入り組んだ構造で、「ぬけられます」「ぬけられません」と書かれた看板が名物になっている。

 この物語は、黒の井で働く男娼の「雪」を中心に据えて、「雪」の元に通いつめる男達の姿を描いたものである。

 一人目は、永井公介。公立の中学校で働く真面目な教師である。

 二人目は、荒木烈。口下手で、性欲が強い鳶職の少年である。

 三人目は、金城恒雄。ナルシストなエリートサラリーマンである。

 四人目は、灰田省吾。定年退職して、のんびり余生を過ごす優しい男である。

 「雪」は四人から愛や体を求められながら、自分は何を求めればいいのか分からず、迷いながら生きている。


 四人のうち、誰を人生の伴侶にするのか?

 それとも、一人で男娼として生きていくのか?