俺は何をやってもうまくいかない。
人と同じようにすることができなくて、
いつも、みんなの背中ばかり見ていた。
待って、と手を差し伸ばしても
誰もその手を掴んでくれる人はいない。
“大丈夫”?と心配してくれる人はいない。
俺は、そのとき初めて誰からも
必要とされていないのだと気がついた。
もしかしたらみんなから俺のことは
見えていなかったのかもしれない、と。
──けれど、きみだけは違った。
きみだけが、
俺の手を強く握り返してくれた。
そのとき、きみの手は
とても、とても、温かかったんだ。
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