雲児(クウ)と空船(カッちゃん)は、かつて人間だったことしか覚えていない。昼と夜で人間と妖を行き来する半妖のコンビだ。二人はもう三十年間、おりを見て故郷を探す旅を続けて来た。あるとき雲児だけが記憶を取り戻し、「ぼくがきみを殺した」と意味深な言葉を残して姿を消す。平成百鬼夜行同盟なる集団の力を…もっと見る
彼女は、その絵画から、目を離せなかった。
(この絵はわたしたちのことだ)
と思ったのだ。
(この木は、この女の命を吸って生きている)
(画 セガンティーニ:『悪しき母たち』)