気づくと『風花』は夜の海辺にいた。

雲の隙間から僅かに漏れた月の明かりが目の前の海を照らしている。

その海は寄せては返す事もしない、時が止まった様な海。振り返ると座っている砂浜は砂漠のように無限に広がっていた。

風花は大好きな夫『葵』を亡くしたばかり……。

何を見ても苦しいくらいなのに一人…



ストーリー概要および物語の設定



気づくと『風花』は夜の海辺にいた。


雲の隙間から僅かに漏れた月の明かりが目の前の海を照らしている。


その海は寄せては返す事もしない、時が止まった様な海。振り返ると座っている砂浜は砂漠のように無限に広がっていた。


風花は大好きな夫『葵』を亡くしたばかり……。


何を見ても苦しいくらいなのに一人では見ていられない程の切ない風景。もう目を閉じてしまおうと思った時。一人のおじいさんが現れた。


風花はおじいさんに聞いた。


「ここはどこですか?」


「ここは天国ですよ」


「天国…ここ、海じゃないですか」


「天国に海は無いと誰かが言っていたかい?」


おじいさんはこの海を渡った先にきっと葵がいると教えてくれた。だけど風花は躊躇ためらう。まるで葵が亡くなった日に感じた『苦しさ』と『寂しさ』を集めた様な海。


入ってしまったら引きり込まれて戻って来れないような気がした。


それでも本当に葵と会えるなら…

風花が海へ一歩足を踏み入れたその時


『イッテハイケナイ……』


誰かの声が暗闇の空から響き渡る。


それでもその言葉を振り切り風花は天国へ続くはずの可笑しな海に入って行ってしまう。


もう一度葵に会うために。 



元小説作品のURL


https://maho.jp/works/15592098914039940232


この作品は「空の向こうに天国はありますか」をコミック原作化したものです。


原作は小学生や小説を読むことが得意で無い方もすらすら読めるように作りました。描写を出来る所まで削っているので、コミカライズされた場合は分かりやすく描写を入れたいと思います。


原作『空の向こうに天国をありますか』を読まれた事がある方、この先は多大なネタバレが含まれます。