村の外れには池があった。それは鮭の游ぐ不思議な池で、その鮭を嚥み下すことで村では成人として認められた。しかし、游いでいる鯉を嚥めば村から追放されるという言い伝えであった。村いちばんのお屋敷に住む娘は、お付きの男に心惹かれ、どうしても鯉(恋)が嚥みたくてたまらなかった。許されぬ恋にうなだれる娘だった…