花散る雨、里に恋しなりゆく【短編】

作者伏水瑚和

 生まれつき、花や植物の“声”が聞こえる異能を持つ、京都に住む女子高生の楓。花が好きなので子供の頃は嬉しかったが、物心ついた頃、自分が皆と違う事に気づき、家族や友達にも秘密にしていた。また、そんな繊細な気質故の、マイペースな生活スタイルから、周りに上手く馴染めず、強い孤独感を抱えていた。
 数年前…