アウトローたちの譚詩曲(バラッド)

作者かしわもち

ストーリー概要


 霊能力者・藤堂春樹。幼い頃の彼は、数多くのテレビ番組に出演する人気者だった。しかし、父親の不倫・暴力・ギャンブルが原因で

一家は崩壊。精神的なストレスで、春樹は霊能力を失ってしまう。≪世間を欺いた少年≫として、世間からバッシングを受ける。春樹の母親は、世間からの誹謗中傷に耐えられずに自ら命を絶つ。春樹は、わずか6歳で天涯孤独となってしまった。しかし、一ノ瀬組の工藤康彦に助けられ育てられていく。


 それから、月日は流れ。春樹は、20歳。都会から少し離れた大学に通っていた。失われたと思っていた霊能力も厳しいが優しい工藤との共同生活を送る中で回復。昔よりも強力になっていた。だが、幼い頃のトラウマが原因で春樹は人間不信。心には深い傷を負っていた。そんな彼は、一ノ瀬組の組長である一ノ瀬竜輝の娘・一ノ瀬凛と共に霊能力を生かした探偵のような真似事をしている。


 ある日。春樹たちの元へ。『行方不明の友人を探してほしい』という依頼が舞い込んでくる。依頼主である大企業の娘である綾小路ほむらと出会う。困っている人を放っておけない性格のほむらは、自らが依頼した事件が解決した後も何かにつけて春樹の元へやって来た。最初は、ほむらの存在を煙たがっていた春樹だった。が、肝も根性も座っている彼女の姿に心を許していく。そして、生まれて初めて異性に対して恋心を抱くように。


 そんな時。春樹に興味を持った週刊誌の記者が春樹の過去を探り始めてしまう。過去や現在の様子を週刊誌の記事にされてしまい、春樹の日常は一変。≪ヤクザに育てられた元霊能者の子供≫として、世間から追われる事に。そして、親しい者達にも魔の手が。春樹は、選択を迫られる。≪ほむらと共に逃げる≫か≪凛と共に裏社会で生きていく≫かを。