物語全体のあらすじ


 祖父も父も政治家。政治家一家に生まれた柿崎ルカ。彼は、幼い頃から両親の期待に応えるべく勉強漬けの毎日を送っていた。しかし、大学受験に失敗。ルカの両親は、ルカに失望。世間に恥が露見するのを恐れ彼を軟禁した。


 それから13年。32歳になったルカ。他人との接触を避け、一日中マンションの自室に籠もっていた。ある日。彼は、外出中にアクセルとブレーキを踏み間違えた自動車にひかれ命を落とす。そして、転生プランナーのコウヅキ・アオイに査定され異世界へ転生。


 ダンジョンの宝箱から、ルカの第2の人生が始まった。兎の人形(呪いのアイテム)となったルカは、ガルヴァ・チェ・ルーク学院で黒魔術を専攻するリーファ・クランツと出会う。喋ることも動くこともできなかったルカは、リーファの魔力で自由の体を手に入れる。しかし、代償としてルカはリーファの僕となってしまう。


 リーファは、伝説の冒険者ウォーカーの孫。祖父譲りの強大な魔力を持ち合わせていた。親族からは、過度な期待をされ。才能を妬む者達からは、嫌がらせや暴力を受け。彼女は、心を閉ざして自分の世界の中だけで生きていた。


 そんな彼女は、学院内にある『黒魔術荘』に住んでいる。そこには、家族から勝手に期待・失望され心に傷を負った者達が暮らしていた。そして、その者達が従える人形には、ルカと同じく前世から転生した魂が宿っていた。生きていた時代・性別・年齢、全員ばらばら。しかし、同じ境遇の者同士。打ち解けるのに時間はかからなかった。彼らは、夜な夜な宴会を開き自身の前世の自慢話や遊びをして第2の人生を楽しんでいた。


 ルカは、新参者として自己紹介をすることに。勉強以外してこなかったルカ。学生時代の思い出(青春)がまるでない。つまらない人生だと他の者に指摘されてしまう。


「なら、こっちの世界で作れば良いじゃねぇか」


 そして、ルカは黒魔術荘の管理人である闇エルフ・ニルの誕生日を祝うことを決めた。リーファや他の者の知恵を借り、黒魔術荘の住人にも声をかけ何とか成功させようと奮闘する。だが、誕生日会当日。誰も来なかった。ルカはニルに失望されるのを恐れる。しかし、ニルはルカに感謝をする。ルカにとって、期待に応えられなかったのに失望されなかったのは初めての経験だった。ルカは、訳が分からず困惑してしまう。