初恋を乗せた自転車

作者ぬーん

同じスポーツクラブに通っている崚弥に片思いをしている渚。
それぞれ違う学校に通っている二人だが、崚弥の学校の運動会の応援に誘われて観に行く事になった渚は、自転車を走らせる。

あれは、五月の日差しが眩しい土曜日だった。

少しだけ漕ぐスピードを上げた自転車に、青色の信号が黄色に変わり、周囲にすぐ赤色を知らせた。

「間に合うかな…。」

熱のこもったアスファルトは茹だるような熱さで、信号で止まる度に頭から汗が吹き出してきた。

赤色が長く感じた信号が青色になり、止まっていた足を動かして、再び漕ぎ出した自転車。

渚のスポーツ焼けをした肌に、涼しい風が通り過ぎていく。