半分化生の陰陽師と、化生を魅せる瞳をもつ陰陽師。ふたりが織りなす、未来を紡ぐ物語。

後宮で、女房が化生に喰い殺された――。


都随一と名を轟かせる陰陽師・安倍春明あべのしゅんめいは、そう師より不穏な噂を伝え聞かされる。

関白・藤原慶長ふじわらのよしながからの要請もあり、事態の解決にのりだすことにした春明は、秘密裏に、とある男へ式神を放った。


男の名は芦屋玄月あしやげんげつ

『陰陽の双璧』として、春明と並び称される実力者であり、関白の政敵お抱えの陰陽師だ。



本来ならば、春明と玄月は、相容れぬ立場で睨むあう者。

けれど、その実は――互いを認め、友と呼び合う、心許した仲だった。



そしていま、都で比肩する者なき彼らが、共に挑まねばならぬほど強大な化生が、内裏のうちで蠢いている。




不世出の陰陽師バディが、消えた女房の痕跡を辿り、内裏を走り、化生を追い詰め、立ち向かう。




化生に力を与える謎の勾玉を追いかけた先――彼らが手にする真実とは。