初恋に敗れた花魁、遊廓一の遊び人の深愛に溺れる

作者湊未来

ここは、吉原遊郭。男に一夜の夢を売るところ。今宵も、一人の花魁が、仲見世通りを練り歩く。
その名を『雛菊』と言う。
遊女でありながら、客と『情』を交わすことなく高級遊女『花魁』にまでのぼりつめた稀な女に、今宵も見物人は沸く。しかし、そんな歓声とは裏腹に雛菊の心は沈んでいた。

『明日、あちきは身請…



春を散らされるなら、艶然と笑ってやる。


それが、花魁、雛菊の矜持。



春を散らされようとも、心は渡しんせん。

主さん、さぁ好きにすればようござりんす。





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