商人の加賀孝太郎は四代目将軍の徳川家綱に二代目兼定、通称『之定』を献上するために江戸城に向かう。そこで、将軍の護衛である九代目の高坂継之助に出会った。
孝太郎は継之助の噂はかねがね聞いている。将軍の護衛なのに、罪人を切り捨てたりなどの出過ぎた行動。真っ黒の装束は返り血を目立たなくするためらしい、などの悪い噂しかない。
城下町では、継之助が女のように綺麗な顔立ちをしていることから『美鬼の継之助』と次第に呼ばれるようになった。
確かに孝太郎が出会った継之助は、孝太郎が献上した之定の試し斬りを自ら実践し三つの死体の胴を斬った。しかし、それは継之助の本心ではないようで?