倒れた彼女を助けたあの時、僕は、ずっと探していた彼女と近づくチャンスだ…そう、思っていた。
あの時、僕だけでなく、誰も、こんなことになるなんて、想像すらしてなかったんじゃないかと思う。
彼女が記憶を失くしていただなんて。
ダンス・ボーカルグループMiraclesのパフォーマー
【
薬を飲まされ、記憶を無くした
【
ーー
彼女は彼女自身のことを忘れてしまった。
同じように、僕のことも覚えていない。
今、僕が彼女のそばにいることが出来るのは、きっと彼女が僕のことを知らないからだ。
ーー
僕は自信がない。
そもそも彼女は女子だけど。男装して仕事をするのを楽しんでいる節があるように思う。このままずっと性別を捨てて生きていくつもりなのだろうか……。
ーー
輝くん、私ね、奇跡ってあると思う。
ーー
自分が巻き込まれたものが何か、思い出した時に彼女はどうするのだろう?その時、僕は彼女を助けられるのだろうか?
これは、僕らに起こった、奇跡の断片の物語。
続編→【赤い口紅】 https://s.maho.jp/book/5f113aad3646af34/6960589955/