mimiko

望めば世界を滅ぼしかねない強大な力を持っているのに
その実は、なんのチカラもない、小さな『人間』の物語。

見えない存在を感じて、恋焦がれて、『ひとり』ではないと信じられるまで、人は何度泣くことになるのでしょう。
その『泣く』ことすら不器用なララクの物語。完全版です。

ショートバージョンを既読なのですが、ボリュームが増えても、もっともっとと物語に引き込まれていくのは、筆者さまの力量なのでしょうね。
あまがみさまの存在を感じながら、あまりにも普通の生活をおくるララクの日常をもっと見たいと思いました。

『神乞い』と評されるには、ララクはあまりにも普通、というか、ただの不器用な人間すぎて、神秘の片りんを覗わせる横笛のシーンをもっと読みたいです。
ララクの笛を聞きに集まる村人と、神をも救うその音色を、文体から感じて、ゆったりとたゆたっていたいと思いました。

眠る前に何度もひろげたい絵本のような物語です。