作品コメント
ログインすると作品コメントが投稿できます
- 中嶋 まゆき
ちょっと痛く、じんわり広がる温かさ
「あまがみさま」の泣き声が聞こえるララク。
その声が聞こえるのは日照りに苦しむ村に雨が降るとき――。
泣き声が聞こえなければ、村に悪い知らせを伝えなければいけない。
でも、大切な存在に泣いてほしくはないから。
その声に淡い恋心を抱く彼の葛藤は、とても切なく読者を惹きつけます。
いつしか想いが募る頃に明かされた真実に、ララクが下した決断とは――。
ちょっとだけ痛く、切なさが胸に残ります。
それは現代の情勢や個々の闇に、誰しも心当たりがあるからなのかもしれません。
けれども、最後はじんわりと優しく温まるような希望を垣間見ることができたようで。
とても素敵な作品でした。 - mimiko
望めば世界を滅ぼしかねない強大な力を持っているのに
その実は、なんのチカラもない、小さな『人間』の物語。
見えない存在を感じて、恋焦がれて、『ひとり』ではないと信じられるまで、人は何度泣くことになるのでしょう。
その『泣く』ことすら不器用なララクの物語。完全版です。
ショートバージョンを既読なのですが、ボリュームが増えても、もっともっとと物語に引き込まれていくのは、筆者さまの力量なのでしょうね。
あまがみさまの存在を感じながら、あまりにも普通の生活をおくるララクの日常をもっと見たいと思いました。
『神乞い』と評されるには、ララクはあまりにも普通、というか、ただの不器用な人間すぎて、神秘の片りんを覗わせる横笛のシーンをもっと読みたいです。
ララクの笛を聞きに集まる村人と、神をも救うその音色を、文体から感じて、ゆったりとたゆたっていたいと思いました。
眠る前に何度もひろげたい絵本のような物語です。 - 秋雨 薫
あまがみさまへの想い
あまがみさまの泣き声で雨が降るか
どうか分かるララク。
姿も見た事のないあまがみさまにラ
ラクは惹かれていく……
ララクの純粋な想いがとても綺麗で
した。
それと同時に、ララクに責任を押し
付けようとする村人の、人の中にあ
る汚い心が何だか現在の時代を思い
起こさせました。
ララクの再話という事で以前読まさ
せてもらった作品よりララクの境遇
や、成長が細かく書かれていて、よ
り一層この物語の世界観に入れまし
た。
人のいい所も悪い所も感じられる、
切ないけれど優しい物語です - 昂
神と人
人とは違った能力を持ったララク。
それは、小さな頃から人に羨まれ、疎まれ、隔離される原因ともなってきた。
ララク自身は、そんな自分をどう扱っていいのかわからず、もてあまし、周囲から決められる運命に静かに従って生きてきた。
が、あることをきっかけに、自分の中の感情が溢れだす――
ララクに向けられる、村人のむき出しの感情。
ひとりひとりのエゴ。
それらが渦巻く中での、ララクの成長。
お話の中で、それらがとても印象的でした。
神にしか向いていなかったララクの感情が、少しずつ人へ向いてきて、そして自身も人へと成長していくその先が、一体どうなるのか、楽しみでもあり、みてみたくもあります。
短い中に、考えさせられる部分が多くある、素晴らしいお話だと思います。 - みづき海斗
切ない
登場人物が増えたことで、ララクの村の様子がよく判るようになりました。
ララクの強さとララクだけが感じることができる「あまがみさま」との関係の切なさがよく表現されています。ララクの生い立ちを入れたのも前作より一層いいものになっています。全体的に本当に「切ない」話ですが、その中に強さを感じる作品だと思います。
最後に村人と判りあえた所が感動的です。