小泉秋歩

今日も相変わらず、この街は物騒だ(笑)
袴田探偵事務所の所長・加奈の恋人である忠興の頭上に、突然、改築中のビルから鉄骨が落ちてきた。
真相を探り始めた加奈の周囲で、第二、第三の事件が起こる。
犯人は誰か?その目的は?
そして、謎の言葉「ちーず」の意味は――?

前作『鉛の月』の後日談的ストーリー。前作を未読の方は、まずそちらからお読みください。
ミステリーとしては、重要なキーワードがラスト近くまで開示されないため少々アンフェアですが、それを差し引いても充分に面白いです!

前作のレビューにも書きましたが、やはり、全ての登場人物が非常に個性的です。
登場人物は割と多いのですが、前作を読み返すこともなく、スムーズに彼らの雰囲気や人間関係を思い出せました。
今回初登場の隆一朗も面白いです(笑)

何といっても、全ての人物に愛される加奈の存在がイイ。元エリート警視で天才だけど、天真爛漫で甘えん坊で周囲を振り回す――なんて罪作りな、愛すべき女性!

さて今回、一番笑ったのはこの台詞。

「もう嫌だな、この町内。どうして、ヤクザと警官しか関わって来ないんだろう。」

――ホント、物騒な町ですね(笑)