放課後、いつも決まって第二音楽室でピアノを弾く彼。「10年も待たされた。」あたしに会ったその時から、彼は10年前と同じ音を奏でていた。
彼が奏でる音楽はホンモノで。
「どこかで会ったことありましたっけ?」
あたしは今も昔もその音に魅了されていた。
「待たせてたつもりが10年も待たされると思わなかった。」
10年という長さを、私は知らない。
(4/10 番外編追加。)