風碧 蒼(かざみどり あお)

不思議な読後感
なんなんだろう、これ? というのが第一印象。


日常の何気ない一コマを書き出したエッセーのような感じだが、結末は明らかにエッセーではない。


簡単にまとめれば、テストで悪い点を取った主人公が江戸川の河川敷で、テストを紙飛行機にして空に飛ばすってだけの、ある意味ただの開き直りの話で、興味深いテーマや手に汗握る熱いドラマが扱われているわけでもない。


ようするにつまらん話なのだが、この作品の場合、世界観がよく練ってあり、語彙も豊富で表現力のレベルが非常に高い為、妙なリアリティがあって、なんとなく読み進めてしまう説得力がある。


この作品そのものというより、その向こうに透けて見える作者に将来性を感じるというほうが正しいかもしれない。


この作者が、多くの人の関心を引くテーマで作品を書けば凄いものが出来上がるのではなかろうか?


次回作に期待する。