夜の世界
私はいつか大人になったら
夜の世界でお金を貯めたら
こんな現実も過去も全て消し去って
全部
全部
簡単に消せると思った
「ねえ、ここあちゃん聞いてる~?」
ああ、また何か言ってる
「なーにー?」
「おじさんもう1回シたいな~」
お金を払って体を買われる
時間内なら何回でもOK
これがうちの店のキャッチフレーズだ
こういうゴミは何曜日に捨てれば良いんだっけ?
ゴミ箱のように汚い白い液体を処理させられてるのは
私の方か
「んんっ…ぁ」
あと20分
あと20分我慢すれば終わる…
「また来週も来るからいい子にしててね~」
仕事を始めた頃は
必要とされた感じがして
可愛いって言ってもらえて
私にも値段が付けられて価値があるって
生きてても価値が有るって思えた。
でも何回セックスしようが
都内は性欲で溢れてる
デリヘルは挿入無しなのに
「エッチな事好きだからこの仕事してるんでしょ??しようよ」
「みんなとしてるんでしょ??」
お前らトイレ掃除の人にも
「肉便器になりたいんでしょ???」
とか言ってんのかよ
何がセックスだ
どんなに結婚してて子供が居ようと
アイツらは臭い吐息を漏らしながらやってくる
結婚なんてしたって
どうせこうなる
恋愛したってお金と時間を使って
わざわざ自分から傷付きに行くようなものだ
恋愛なんて自己満オナニーで
相手の為になにかしてあげようなんて
自分が相手の為にここまでしてあげれるっていう
ただの自己満足
こんなお金なんて要らないから
ただこんな煙草の匂いと酒と欲望の
街から抜け出してくれる人が欲しかっただけだった
「ここあちゃん今日の精算は…13万円ね!お疲れ様でした~」