それでも私は笑ってる。

作者黒野桜

この春に女子校に入学した雫
楽しくてワクワクしてた
…だけど…。

ー第1章ー

喜び…黒い影



『新井雫』

ガタッ

『はいっ!!』


今日は私がこれから通うことになる

山桜高等女学院の入学式

皆新しい制服を着て緊張しながら歩いてる…

…楽しみだな…。


…しーん…

入学式が終わって、各自皆が、

思い思い自分の好きな席に座ってる。


…誰一人と話すことはなく、

重い沈黙が続いていた。


ガラッ

長い髪の毛を軽やかに揺らしながら担任の先生が勢いよく扉を開けて、教室に入ってきた。


『新しくこのクラスの担任になった、桜井岬と言います。

3年間よろしく。』


『これから、各自前に出て自己紹介をしてもらいます』


『じゃあ、新井さんから』


『はいっ!』



ガタッ


『新井雫です。趣味は絵を描く事です、

3年間よろしくお願いします。』



パチパチパチ


自己紹介が終わった後、新しい教科書が配られた。


『今から、新しい教科書を配りますが、無くさないように、自分の持ち物には名前を書いておいてください。』


『はいっ』


前に座ってた子が私に新しい教科書を渡してくれた。


『ありがとう』


『私、河山静よろしくね。』


私は、軽く会釈をしてから小さな声で『よろしく』と言った。



『じゃあ、今日はこれで終わりです。皆さん気をつけ帰って下さいね。』


先生の終わりの合図と共に生徒が一斉にちらばり帰った。



『今日緊張したねー…』


そう私に話しかけてきたのは、前の席の河山さんだった


『うん、そーだね…』


『わたしも絵描くの好きなんだー、この前のこんなのかいたよー』


一枚のきれいな模写を見せてきた


『え?自分で描いたの!!?』


『うん、暇だったから…』


『すごいね…』


私たちは、絵の話で盛り上がった。



ずっと、友達だと思ってた…。


入学してから3ヶ月経った6月、皆慣れてきて、何個かのグループができた。


やんちゃなグループ子達が、クラス中の一人を対象にして無視をしたり、軽いいじめに似たような遊びが広まった。


…その時は、すぐ終わると思ってた…


ほとんどの人かがその対象になったけど、後は、私と静はまだだった…


『雫…怖いよ…。』


『大丈夫…静がいじめられても私は静を守るから』


『ありがとう、雫は優しいね』


『友達だもん、友達を守りたいと思うのが普通でしょう?だから、お礼なんていらないよ。』


そんな会話をしてから数日後、静が、いじめの対象になった…


『河山さんが来たら教室の鍵全部閉めとこうよー(笑)』


『いいねー(笑)』


トタタ、静が走ってくる足音が廊下から聞こえてきた。


『じゃ、全部の鍵閉めてー(笑)』


その子の合図で、教室に入る全ての扉の鍵が閉められた…


『どんな反応するんだろーね(笑)』


『泣くんじゃね(笑)』


そんな声が聞こえてた


ガタッガタッ


『…あれ?開かないなんで…!?』


『河山さんは今日はそこで勉強してればー(笑)』


くすくすくす

微かな笑声がした


カツカツ

私は鍵のかかったドアの前に立った。


『あ?あけんなよ?』


私はその言葉を無視した。

ガチャ

『静、おはよう』


『雫ありがとう…』


『チッ』


黒い影が、私に向いた瞬間だった…。