NAO

果てしなく虚像に近い現実
もし、嘘が禁止されたら、世界は少しつまらなくなる。

この文章がこの物語の世界を物語っているような気がしました。

浅川への想いも、本当に好きだったのかもしれないし、そこまでだったのかもしれない。

偶然の出会いに惹かれたのも、気の迷いだったのかもしれないし、そうじゃないかもしれない。

自分の中の本当と嘘。

会話の中の本当と嘘。

作品中に常に漂う虚構と真実の意識に、ずっと揺らされていました。
けれど、優しい文章と客観的な淡々とした流れのせいか、その揺れが心地よく、余計に引き込まれました。

ずっと黒を纏った人が初めて見せた、白いへそ。
絶対的に真実な生身の肉体。
この描写で、一気に二人の距離が縮まった気がしました。

大好きな世界観です!