「彼女屋」
ここは舞子浜海岸 それはまだ明石海峡大橋がなかった時代の話です
明石海峡の海を見渡すことができる海岸線には右に八角堂 左に砂浜がある美しい浜であったその浜辺から見える淡路島は晴れた日は
島影がはっきり見え夜は対岸の街明かりが見え この浜は憩いの場であった
ある日の朝 その舞子浜公園に来ていた青年は時計を見ていた時間は8時であった
海峡の方を見るとサンフラワー号が汽笛を鳴らし航行しているのも見えた
青年「あの淡路島に渡ってみたいな 俺はまだ行ったことないので
今日はフエリー乗り場がどこにあるか誰かに聞いてみようっと」
そう呟きながら公園から浜辺に降り砂浜にある岩場をなんとなく見ていた
青年「ん?誰か岩場に載っている何してるんだろう」
それは浜辺のそばにある岩場に白いワンピース姿の女性が海のほうを向いて立っていた
まるで向こう岸の淡路島のほうを見ているようであった それを見て青年は何かしら不安がよぎったので
すぐに手荷物を足元に置きその女性に声をかけた
「ちょっとお姉ちゃん そんなとこ立っていたら海に落ちるよ!」するとその女性は青年のほうを振り向き驚いた様子でふらつきながら足を滑らしたので
青年は急いで駆け寄り倒れかけた女性を受け止めた
青年「はぁはぁはぁっ おい君 大丈夫か?」
女性「、、、」
青年は女性を抱え浜辺におろし「あぶねぇやんか!お姉ちゃんこんなとこ上っていたら海に落ちて死んじゃうで!」と注意したが
よく見るとその女性は顔色が白く青ざめているようだったので
青年「とにかくここから離れて上の公園へもどらへんか?」と声をかけた
うつむいたまま女性は「はい」と小声で返事をした
青年は女性の手を取り ゆっくりと女性の様子を横目で見ながら なんとか公園まで連れて上がってきた
そして近くにあったベンチに女性を座らせた
青年は女性が長い髪をぐちゃぐちゃにしたままで放心状態のようだったので「ああこんなになって髪の毛ぐちゃぐちゃやん」
といいながら女性の髪を直したが女性は無表情のようだった
青年は女性が何も話さないようなので仕方なく真横に座り 少し間を開けてから 声をかけた
青年「お姉さん寒かったやろ? あそこの岩場は雪国育ちの俺でも 冬場は吹きさらしやし身にこたえる そうや 少し待っててな
俺 今たこ焼き買ってくるから まだ動いたらあかんよ 一人で危険やし ここで待っててな」
しばらくすると舞子浜公園のロータリーにたこ焼き屋の軽トラの移動屋台が現れたのでジュンはすぐに買いに走った
そしてすぐにたこ焼き2船買ってすぐに女性のそばに戻った
青年「はぁはぁはぁ久しぶりに走ると息切れるな ところで
お姉さんはどこから来たん?おいらはこの舞小浜公園の駅の裏の坂道を上がったとこの舞小浜団地そばの寮から来たんだよ」
女性「、、、」
青年「まぁ何があったかわからんけど このたこ焼き食べたら体あったまるで」と女性に1船渡した
すると
女性「ありがとう」と笑顔で返事したので
青年「なんや元気そうやん とにかく さめんうちに たこ焼きたべや」
女性「おいしい」
二人でたこ焼きを食べながら ゆっくりと時が流れた