山田という中年風の男は、風邪のような症状が出たため病院で診察を受けた。
『う~ん…これといって異常はありませんが…』
医師はカルテを見るともなしに眺めていた。
『え…熱っぽいし、手足の節々も痛いんです。』
『山田さん、お仕事なに?』
『……自営業…ですかね…』
『自営業ねぇ…ストレスによる精神障害って疑いもあります。そうだな…何か悩み事なんかあります?』
『最近、住まいがひどい所になったことが一番の悩みですかね…』
『ああ~大変ですから…あ、そうだ、良い物件が最近建てられたんですよ。』
『ほぉ』
『知人に紹介状を出しておきましょう。あと、精神安定剤10日分…これで様子を見て、ダメだったらまたいらしてください。』
数日後、山田のもとに不動産屋から手紙が届いた。中身は住所と地図。
[物件に直接行って、自分で持ち主に交渉してください]
書かれた紙も同封されていた。