NOEL
溺愛、トリップ、異世界……練り込まれた設定だからこそ惜しく感じる本格派の一作
第三者の視点から物語が進むため各々のキャラの心情が丁寧に描かれいた。
また、だからこそ世界観が捉えやすく、簡単に物語を理解しやすかった。
しかし、そのせいで所々の感情の変化が急展開に見えてしまい、不自然に感じらたのも確か。
また、クロードもマリカも感情がストレートに書かれているので、キャラの個性が目立っておらず、徐々に飽きを感じてしまうのが残念な点。
更に、第三者視点かと思いきや、所々視点がマリカやクロードに変わる。
多すぎる改行で変わる点が分かりやすく戸惑う事はないし、視点を変える事で、物語を見やすくしていた。
しかしながら、Sideシェリーンと出てきた時点で、さりげない改行で保たれてきた視点変化が無意味となり、どこか不恰好。
丁寧な描写、流れるように美しい表現で物語を造り上げているからこそ、些細な部分が作品の完成度を下げていると思う。
今一度どんな視点で物語を造り上げるかを決めるべき。
作品の設定や世界観が素晴らしいので、完成度をあげる事で、すっきりした、とても見ごたえのある作品に変わるだろう。