音羽シュウ

本格派を語るならこの作品!
初めから現在の更新分まで一気に読ませて頂きました。…感服、の一言に尽きます。

序章の時点ではありがちな逆ハー系かと思いきや、なんて見事なまでの構成力とそのセンス。惹き付けられるとは、こういう事かと思い知らされました。

受け持つ仕事に関して先読みできるずば抜けた能力と、それによって生じる様々な危惧を予測し綿密に計画を立て物事を進めていく描写には、フィクションだと分かっていても鳥肌が立つ勢いで。しかもそれを難なくやってのけるのが、なんとまだ少女と呼ばれる年頃の娘だと言うのだから、畏怖を覚えずにはいられない。さらに、主人公の部下である周りの人間はみな揃いも揃って彼女を崇拝に陶酔している所が、それすらも計算され尽くされているようで、最早不気味だとも思った。

と、そんなあまりの周到さを見せ付けておきながら、彼女自身はなんて脆い女の子だったことか。我が儘で傲慢な小さな子供のようにも、愛されたくて仕方ないと叫んでいるようにも見える。このアンバランスさが、彼女の魅力の一つと言えるのかもしれない。

本当にここだけでは語りきれない秀作。
この後の展開、楽しみにしています。