家が無くなって困った私を引き止めたのは、怖くてよく怒鳴る葉山さん――仕事に恋に、騒がしくなった私の日々は葉山さんによって鮮やかに彩られて行く。



「そう簡単に逃がせるものじゃない」



美人でも不細工でもない。ただ愛嬌があって、日溜まりのように明るく柔らかい。



「どうしようもなく、好きなんです」



ああ、この人は私をちゃんと見てくれる。一人きりにはしないのだと。



真っ直ぐに、ただ真っ直ぐに。


目指す場所への道程は、

思いの外近いようで遠かった。



【2012年10月16日 開始】

【2012年10月26日 完結】

※この物語はフィクションです。