昂
すっかり……
いっそ清々しいほどに、すっかり騙されました。
ベースは、心が洗われるような青春小説でありながら、ミステリーを得意とされている作者様だからこその、お話の展開。本当に素晴らしいとしか言いようがありません。
ここでばらすのは、これから小説を読む方にあまりに申し訳ないのでお話出来ませんが…。
ここに出てくる登場人物は、男2人、女2人の幼馴染たちです。
この4人が織りなす人間関係は、ちょっと複雑で、かつもどかしく、そして切ない。
きっとそれは、上条くんが優し過ぎる、そのことが大きな原因なのだと思います。
でもそこに惹かれてしまう女心。それも痛いほどわかります。
作者様は男性でありながら、男女両方の気持ちをどちらも的確に表現しています。
相手の気持ちを測ることが出来ずに、だからこそ自分の行動も決められない、そんなすれ違いを切なく書き綴っていく手腕は素晴らしいものでした。
このもどかしさがあったからこそ、最後のあの場面が効いてくるのだと思っています。
読むのであれば、絶対に最後まで読まないと後悔します。
夏にぴったりなこの小説。
お勧めです。