あんず
本当に恐ろしいのウイルスか、それとも
1000万分の1の確率で死をもたらすウイルス。
ウイルスの蔓延を食い止めるため、感染者は厳重に隔離されている。
しかし、地震によってその施設は壊れてしまう。
その時、感染者たちを待ち受ける運命とは。
明日を保障されている人間など一人もいない。
落ち着けばだれにでも分かる当たり前のことなのに、1000万分の1の100%はそれさえ簡単に忘れさせてしまう。
目の前の死の恐怖に憑りつかれた人間は、どこまででも残酷になる。
そして、自分の儚い生のためならば100%の死を平気で相手にもたらすこともできる。
数年前の新型インフルエンザパニックを思い出した。
オカルトな恐ろしさではなく、決して他人事じゃないリアルな恐ろしさにぞくっとした。
本当に怖いのはウイルスなんかじゃない。人間の醜い真の姿だ。
淡々とテンポよくストーリーは進んでいくが、多く語られない分、深く考えさせられ鳥肌が立つ。
視点のトリックやループするラストもシニカル。