作品コメント
ログインすると作品コメントが投稿できます
- 赤穂庵笙
新種ウイルス
ない話ではないなと思える問題作
本格的で緻密な推理小説を書かれる作者様の
緻密なパニック作品です
まさにカルネアデスの板の話を彷彿とさせました
毎度、良作ご馳走さまでした。 - あんず
本当に恐ろしいのウイルスか、それとも
1000万分の1の確率で死をもたらすウイルス。
ウイルスの蔓延を食い止めるため、感染者は厳重に隔離されている。
しかし、地震によってその施設は壊れてしまう。
その時、感染者たちを待ち受ける運命とは。
明日を保障されている人間など一人もいない。
落ち着けばだれにでも分かる当たり前のことなのに、1000万分の1の100%はそれさえ簡単に忘れさせてしまう。
目の前の死の恐怖に憑りつかれた人間は、どこまででも残酷になる。
そして、自分の儚い生のためならば100%の死を平気で相手にもたらすこともできる。
数年前の新型インフルエンザパニックを思い出した。
オカルトな恐ろしさではなく、決して他人事じゃないリアルな恐ろしさにぞくっとした。
本当に怖いのはウイルスなんかじゃない。人間の醜い真の姿だ。
淡々とテンポよくストーリーは進んでいくが、多く語られない分、深く考えさせられ鳥肌が立つ。
視点のトリックやループするラストもシニカル。 - mimiko
人が陥る、輪廻の誤り
誰もが死を恐れ、誰もが生にしがみつく世界。
その感情が巻き起こす悲劇は、この世界のどこかで繰り広げられ、この世界のどこかで繰り返される。
いつの時代でも、どんな国でも、
私たちのすぐ側に、
『あるかもしれない』
と思わせる恐怖。
見事でした。
生に執着する気持ちを否定できないだけに、誰もが起こしかねない過ちを、まざまざと見せつけられ、
『人が怖い』
と思える作品です。
是非、ご一読を…… - DAI
臆病だからこそ
―震災により、隔離病棟から解き放たれた感染病患者たち。彼らを待っていたのは救いの手ではなく、“迫害”だった……。
タイムリーな題材で実感の湧く、リアルな恐怖が描かれています。
パニックに陥ったときの人間の心理。
人が人を殺し、恐怖を排除する。
臆病だからこそ排除する……。
短編で読み易いので、一気に読めました。でもむしろ僕は、もっと長くてもいいぐらいに感じました。
煽るトコは煽って、焦らすトコは焦らして、長ったらしく描写していただいてもこの作品になら読者はついて行けます!
最後の捻りは特にナイスです! - うさこ
1000分の1の感染
1000分の1の感染。
とても恐ろしい内容でした。
主人公の心情なども細かく書かれていて、すごくリアリティー溢れてました。
最後のオチににはゾッとしました。 - りんね
感染者ネタですが視点がいいです!
感染者ネタは大体、通常者が感染することに対して恐れたり、葛藤したりすると思いますが、
これは逆の発想で新鮮でした☆
感染者側の立場からの視点が、リアルに描かれていて、通常者である人の方が異常に見える手法でとても感心します!
最後は逆転的な終わりで、やられました! - 野和
お見事です
文章力、素晴らしいです。
ジャンルはホラーとなっていましたが、
他のホラー作品にありがちな
「おどろおどろしい」ものではなく。
ドキドキハラハラ、先の展開への運び方、
人間の浅ましい部分、恐ろしい心理が
淡々とした文章で語られていて。
ラストの衝撃に、
やるせなさがいっぱいです。
かなり良作。 - 神水紋奈
人の凶行の果てに
前作を拝見したときから、作謝さまの見事な表現力には脱帽
です。
読んでいてストレスを感じさせない素晴らしい文章だと思い
ます。
この物語は、人の、自分本意の考え方をまざまざと見せつけ
ているようなお話です。
1000万分の1の致死率の病と、隔離される感染者。
それだけでも衝撃的だというのに、そこに起こる大地震。
そして、人々の凶行……。
息つく暇もなく物語は進んで行きます。
読者を驚かせる、作者のトラップも楽しかったです。
そして結末、本当におもしろい。
一読の価値はあります。ぜひ、ご覧ください。 - 結月 イオ
すごいリアル!!
とてもリアルなお話でした。
少し怖かったけれど共感できるところが多々ありました。
『死にたくない』
誰もがそう思っているのだろう。
人間という生き物は何をするかわかりませんね。
わたしだったら、なんて考えてみたら鳥肌が立ってしまいました!
次のお話も期待しています!! - ハル
悲しいけど、リアル
作り話ですが、とてもリアリティー溢れる内容だと思いました。
今回の東日本大震災もそうですが、いつどこでどんなことが起きるか予測できないわけで。
そういう事態が起きてからの生活なんて全く想像もつかないもの。
特効薬の開発されていないウィルスに感染した隔離患者が地震で街に下りてきたら、パニック状態で、更には自分達がウィルス患者とバレ、残酷に殺されてしまうというお話。
悲しいけれど、人間パニックになってしまうと、やりかねない気もしてしまいました。
生きていくには色んな犠牲がつきものかもしれませんが、沢山の大切な命が救われるように、一人一人気持ちを強く持っていかなきゃな…と考えさせられました。
明日は我が身…かもしれません。
最後のオチに、ちょっと鳥肌がたちました。 - 時雨
地震よりも凶悪ウィルスよりも怖いのは人の心
ランフランクウィルスの感染者達は隔離施設が崩れたために逃げた
「死にたくない」
ただそういう想いで逃げたのに、こんどは町の人達が自らの死を恐れたために殺されないように逃げるハメになった。
最後追い詰められたらジャニス達が必死で感染率の低さを訴えかけたのに、たった1人の
「だけど、やっぱり怖いよな」
その言葉で集団が同調し皆殺しにされてしまった。
最後、
目先の恐怖心に支配されてラフランクス感染者を皆殺しにしたあと、更に恐ろしい病が町を襲ったというニュース。
唯一救いの手段となりえたはずのラフランクス感染者は皆殺しにしてしまった中で町はどうなったのか。
そして町の人はまず最初にこう思っただろう
「あの時殺さなきゃ私達は死ななかったのに」
ホラーですが、グロい(のも多少はありますが)とか霊的な怖さじゃなくて、人間の真の恐ろしさを感じさせるお話でした。
人間が恐怖の渦に落とされた時どんな動物よりも恐ろしくなる、という話がありますが正にそれを記したようなお話でした
これを読んで感じるものは多いと思います。 - 蜜柑
恐怖から生まれる悲劇
とても恐ろしい内容でした。
ホラージャンルなので幽霊系かな?と思いましたが人為的な恐怖で。
死にたくないから逃げる。
死にたくないから殺す。
考えていることはみんな同じなのにこんなにも亀裂が入る。
1000分の1の感染。
1万分の1の発症。
確率にしたらこんなにも僅かなのに、死を恐れる人間はこんな小さな確率ですら怖い。 私でもきっとそうです。
この短編でこんなに考えさせられると思いませんでした。圧倒されました。 - 芙佳
確率以上の恐怖
感染率1000分の1、発症率一万分の1、よって死亡率1000万分の1。というウイルスに感染している患者たちと
感染を怖れ、保身のために彼らを迫害する人々。
1000万分の1でも、その可能性に恐怖する人々の心理、現実的だと思いました。
この話を読んで、伝染病として隔離幽閉され、子孫を残すことが許されなかったライ病患者の話を思い出しました。いまだに強い偏見があるAIDS患者のことも。
「健康優良な者が正義であり、病気を移す者は悪だ、排除せよ」この理論が、いかに危険で恐ろしいものか、この小説のラストが知らしめてくれているように思えました。
ホラー作品としての恐怖を煽るなら、排除されていくシーンでのグロさを、より詳細な描写で書きこんでいけば良いかもと思います。 - 旬嘉
集団感染
感染したら必ず死んでしまうランフランクウィルス。
だが、感染確率はかなり低い。
それだというのに、隔離施設がなくなっただけで、周囲の人からは迫害を受け、ましてや殺されてしまう。
感染したのは、ウィルスではなく、「恐怖」。
作者様は人間の心理を描くのがとても上手いです。
素晴らしい作品をありがとうございます。 - オギクボ
そう、きたかw
ランフランクと言うウイルスに感染している主人公達。隔離病棟で生活していたが、ある日、地震に襲われて外へ出る事になる。
しかし、そこで待っていたのは病気に対する世間の悲しい偏見だった。
感染率も発症率も極めて低い病気なのになぜ邪魔者扱いされて襲われるのか? 主人公達の悲しみや怒りの心情描画が拝読していて痛々しく感じました。
ある意味、人間の怖さも描かれた作品だと思います。
そして、そして、ラストのどんでん返しにやられました(笑)いろんなパターンを予想してたのですけど見事に外されました。
後日談で語られる事実は本来、人間同士あるべき形である助け合う優しさを忘れてしまった人達への天罰のような気もします。
あの時、ウイルスとか関係なく優しい手を差し伸べてあげれば……
内容はホラーですが、考えさせられる内容でした。