みさと
彼女の声が、作品から聞こえてくる恐怖
場面としては狭い病室のみで、あとは回想という至ってシンプルな短編。
作者さまの得意とする今回の“隠しトリック”は、『声』と題された節にある。
その『声』を順番に繋ぎ合わせると、亡くなった彼女の心の声が響くようになっている。
その囁くような呟くような声が、作品全体を包み込み、一層ホラー感を増している。
最後の最後まで、人形と会話する主人公。これもまた恐怖である。
ただ、“告白”というテーマに対して、同僚が発した言葉を赤字で使用しているが、その表現が少しぎこちなく感じたのが残念です。敢えて“告白”という言葉を強調しなくても、十分にテーマに沿った作品だと思いました。
これからも、練りに練った作者さまの作品、読みたいです。
ありがとうございました。