本格ミステリ、そして話も動く
今回の依頼人は、題名にもある通り、小さな依頼人、そう、子供。

状況証拠から、自分の父親が、殺人事件の容疑者になっていることを知った娘が、聖に調査を依頼したのだ。

しかも、その殺された人物と言うのが、和也の友人だったため、聖も利奈も、そしてもちろん和也も、事件に深く関わっていくことになる――


現場から凶器が消失していたことで、容疑者となってしまった依頼人の父。
その父を思う娘の気持ち。
結婚式と言う晴れの席で起きた殺人。

登場人物それぞれのドラマや気持ちが複雑に入り組んでいるのに、混乱することもなく最後まで読まされてしまう。

作者様の、高い文章力と、構成力の高さ、人物設定の確かさを改めて感じさせられ、しかも全体として、質の高いミステリに仕上がっているのが素晴らしい。

そして、哀しい結末にも拘わらず、読後の満足感が高い。

この先の、聖と利奈の関係が少し変化することを示唆している回でもあり、次回作が今まで以上に楽しみである。