作品コメント
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- mimiko
非情な振る舞いの中に優しさを見いだせるキャラクターはなかなかいません
犯人を暴く探偵としての覚悟が、聖探偵の魅力を現してくれた物語でした。
その人の罪を暴くということは、単純な正義感で行うのではなく、罪を認めた彼の人生や償っていく罪の重みを、一緒に背負っていく覚悟があってこその優れた探偵だと思いました。
聖探偵の覚悟が初めからあるからこそ、真犯人に述べる無情ともいえる言葉。
聖探偵の本心というか信念を見た気がします。
これから以降、利奈ちゃんを探偵業に噛ませる決断をしたわけですから、彼女も一緒に引き受ける腹が据わったのでしょうか。
最初はとっつきにくい人ですが、実は恐ろしく懐の深いお方です。
筆者さまの書くトリックの秀逸さや魅力的なキャラクターについては、聖シリーズ全編を通して皆が語っています。
タイトルの可愛らしい依頼人、また彼女に要求する報酬のスマートさ。
様式美のような恰好良い聖探偵を見せてもらえて、1ファンである私は大変に満足したのでありました。
良質でわかりやすい推理小説です。
是非、みなさんにも楽しんでもらいたいです。 - 昂
本格ミステリ、そして話も動く
今回の依頼人は、題名にもある通り、小さな依頼人、そう、子供。
状況証拠から、自分の父親が、殺人事件の容疑者になっていることを知った娘が、聖に調査を依頼したのだ。
しかも、その殺された人物と言うのが、和也の友人だったため、聖も利奈も、そしてもちろん和也も、事件に深く関わっていくことになる――
現場から凶器が消失していたことで、容疑者となってしまった依頼人の父。
その父を思う娘の気持ち。
結婚式と言う晴れの席で起きた殺人。
登場人物それぞれのドラマや気持ちが複雑に入り組んでいるのに、混乱することもなく最後まで読まされてしまう。
作者様の、高い文章力と、構成力の高さ、人物設定の確かさを改めて感じさせられ、しかも全体として、質の高いミステリに仕上がっているのが素晴らしい。
そして、哀しい結末にも拘わらず、読後の満足感が高い。
この先の、聖と利奈の関係が少し変化することを示唆している回でもあり、次回作が今まで以上に楽しみである。 - 旬嘉
隠された凶器
とある男女の披露宴という幸せに満ちた場で新
郎が突如殺される。
凶器は鉄パイプのようなものだというが、見当
たらず、警察は唯一会場を出た男を犯人だと睨
むが、彼にはアリバイがなく。
彼の娘が利奈を通して、探偵聖飛鳥に父親の疑
惑を晴らして欲しいと依頼をするが……。
凶器喪失。
何故、凶器はなくなったのか、凶器は一体何
だったのか。
謎を解いていくうちに見えるのは悲し過ぎる動
機で……。
読み応え満載の本格ミステリー。
それぞれのキャラクターも個性的で、つい夢中
になって読んでしまう作品です。