mimiko

神謡を唱えて人ならぬ国へいく
いつきさんは、神謡(かみうた)を唱えてしまったのだと思いました。

その恋は『禁断』というより『禁忌』
人が触れてはいけないもの、常世の国の物語。

筆者さまの他作品を読むと、物語が繋がってきますが、
いつきさんの出生には、この世のものではない存在が関与してきます。

もともと彼は、そちらの世界の住人に近い存在だったのです。

そんな神の寄り代とも言えるいつきさんに、この世の常識を当てはめようとしてはいけません。

いつきさんの想いは純粋。
それゆえに残酷。

どの神話を読んでも神の所業とは、そんなものではないでしょうか。

だから父親の大希さんは苦しみます。
我が子のはずなのに、その思考が理解できないからです。

現世に迷い込んだ、この世ならぬモノの葛藤と、それに巻き込まれた人間。

人間の力のなさと、それから小さな奇跡が読める作品です。

お母さんのほのかさんsideも、読んでみたいように思いました。
かつて神に触れたことのある彼女は、果たして、現世にとどまっていられるのでしょうか……。