作品コメント
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- mimiko
神謡を唱えて人ならぬ国へいく
いつきさんは、神謡(かみうた)を唱えてしまったのだと思いました。
その恋は『禁断』というより『禁忌』
人が触れてはいけないもの、常世の国の物語。
筆者さまの他作品を読むと、物語が繋がってきますが、
いつきさんの出生には、この世のものではない存在が関与してきます。
もともと彼は、そちらの世界の住人に近い存在だったのです。
そんな神の寄り代とも言えるいつきさんに、この世の常識を当てはめようとしてはいけません。
いつきさんの想いは純粋。
それゆえに残酷。
どの神話を読んでも神の所業とは、そんなものではないでしょうか。
だから父親の大希さんは苦しみます。
我が子のはずなのに、その思考が理解できないからです。
現世に迷い込んだ、この世ならぬモノの葛藤と、それに巻き込まれた人間。
人間の力のなさと、それから小さな奇跡が読める作品です。
お母さんのほのかさんsideも、読んでみたいように思いました。
かつて神に触れたことのある彼女は、果たして、現世にとどまっていられるのでしょうか……。 - 日下奈緒
純粋故の苦しい感情
正に衝撃的でした。
母親に持った許されない感情。
決して醜い独占欲ではなく、ただ母親を好きだという純粋な想いがあるのに。
それはある男の策略で、埋め込まれた作り物。
そしてその作られた感情は、実の母親も育ててくれた父親も苦しめ、傷つけてしまう。
相手を欲するというのは、何なのか。
とても考えさせられる作品でした。
身勝手な男に翻弄されながらも、母親への想いは、紛れもなく本人のものなんじゃないかって、私は思いました。
それはそれで、許されない感情なのかもしれませんが。
短編ですが、読み応えは十分でした。