私の祖母は、小さなダイヤモンドの指輪を大切にしている。その指輪は、過去に人生で一番愛していた人から最初で最後のプレゼント。
「この指輪をくれた彼は、とても素敵な人だった。」
「彼は私にこう告げたの。戻って来るから。必ず君のところに戻って来るから、それまでこの指輪と共に待ってて。でも、彼は戻って来なかった。残されたのは、この指輪だけ。」
今までずっと、誰にも話さなかった祖母の過去の恋。
「本当に愛しているのなら、待たないで会いに行きなさい。待っていても、何も始まらないわよ。」
恋愛上手ではない私に勇気をくれた祖母の過去の恋は、とても幸せそうな時間で、切なかった。