「好きだ!!!」
これで99回目の告白。
「…ごめんなさい」
失恋も99回目。
相手は生まれた時からの幼馴染みの優香。
かれこれもう片想いしてから10年にはなる。
そして、こいつもまた絶賛片想い中である。
「…ほんとにごめんね」
黙ってると、俯き気味に優香が謝ってきた。
やっべ。
「ったく、優香も諦めがわりぃなあ〜」
笑いながら冗談めかして優香に言うと、優香も顔を上げてほっとしたように笑顔になる。
「あんたに言われなくないよ」
これがいつもの日常。
俺はこいつに彼氏が出来るまであきらめない。
そう誓ったが…
「そろそろ気持ちわりぃよな…」
優香と別れた後、空を見ながらぼそっと声に出してみた。
もう、次で告白するのはやめよう。
いや、諦めるわけではない。ただ、こちらから告白するのをやめるだけだ。
そう心に言い訳をするが、心は悲鳴を上げていた。
99回目でも、何回体験しても、慣れない。彼女の申し訳なさそうな『ごめんなさい』。
それをもう聞かないためにも、これで最後にしよう。
心にそう決めた。
次の日の放課後。
俺はいつもとは違う覚悟で優香を呼び出した。
「優香」
彼女の名前を呼ぶと、優香も俺のいつもとは違う雰囲気に気づいたのか、俺の目をまっすぐみた。
「…好きだ。10年前と変わらず。いや、10年前よりも、もっと…」
優香の目を見ていると、吸い込まれそうな気分になっていく。
飲まれないように、1つ深呼吸をした。
「優香のことが、本当に、好きです。大好き…
俺と、付き合ってください」
「…ごめんなさい」
「!…」
やっぱり…か。
いつものように、明るく返そうと拳に力を込めた。
そして息を吸うと、彼女からの言葉でせっかく吸った息を吐いてしまった。
「今まで待たせてごめんなさい」
「…え、」
「…そして、好きでいてくれてありがとう。
…私も好きです。…よろしくお願いします」
はにかむように言った彼女。それに対して俺は間抜けな顔でほうけてしまった。
「…まじで?」
「…まじです」
…
「よっっっしゃあああぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」
俺は、100回目の告白でやっと優香を俺の彼女にすることができた。
「おっせーんだよ、ばか」