うのたろう
こういう恋、いいな
主人公・美波とクラスメート・奏耶のおだやかな恋の物語。
美波はどこか冷めているような印象もあるが、そんなテンションが高校生(あるいは中学生)の女の子のリアルな等身大だと思う。
自分のことを好きだといってくれる奏耶に対し、自分の想いをすなおな言葉にのせることのできない美波のもどかしさが、手にとるようにわかる。
おさなさという名の不器用さを持った美波に対し、明るくライトに気持ちをつたえる奏耶は、思春期よりもすこしおとなの雰囲気。
そのコントラストもひじょうによかった。
構成力があり、物語のはこびもうまかった。
また、ところどころの表現に作者のセンスも光っていた。
個人的なベストは29ページの頭の文章。
おもいきり文学だ。
こういう恋、いいな。
そう思える作品だった。