緑茶
乱世の果てに
戦国を愛しすぎている私です。
秀頼と千姫の関係は、始まりから終わりまで悲恋だった気がします。
二人の間に子が無かった為に不仲だったと言うような噺もありますが、個人的にはそうではないと思っています。
この作品は、そんな気持ちを見事に包み込んでくれました。
華々しく歴史に名を残した武士を支えた戦国の姫。死して英雄になる夫の傍らで、遺された者は――。
殉死だけが愛でなく、悲嘆に暮れるだけが遺った者がする事ではない。
無理やり嫁がされ、意志に関わらず引き離され、挙げ句肉親に良人を殺された千姫の、優しくて悲しくて強かな決意に胸を打たれます。
時代背景を知らなければ分かりにくいお話かとは思いますが、非常に読みやすく、それぞれの文もお話自体も短いからこそ爽やかに読むことが出来ます。
戦国に終わりを告げた戦の果てには、幸せなど僅かだったんだと、改めて切なくなりました。