Saya

複雑な感情の揺れ
最後まで先が読めませんでした。

ある意味、最後のところは衝撃的で、かなり驚きの展開でしたので・・・。

現世と前世の話が交互に出てきて、また前世の感情が現世までからみあっています。

また前半の前世の物語は、冬悟と月光姫の出会い、そして純粋な恋がメインで、この二人に感情移入して行きます。

そして月光姫を弟の冬悟から奪おうとし、二人を引き裂く兄の冬雅は、なんて嫌な奴なんだろうという感じでした。

しかし後半は冬雅のことも人間味がある人物として描かれていて、時とともに冬雅のことを愛し始める月光姫の複雑な気持ちが表現されています。

冬雅の生まれ変わりの圭介の気持ちも丁寧に書かれていて、読むにつれてだんだん圭介の方の気持ちにも感情移入してきました。

前世での冬雅と月光姫の複雑な感情の動きを見ているうちに、ただ単純に冬悟と月光姫が現世で再会し、再び愛し合えばすべてハッピーと言えるような物語ではないと感じました。

それぞれが一人の人間として描かれ、またそれぞれの心情が分かるところが良かったです。

また後編が楽しみです。