雨宮未来
美味くて、愛おしい、幸福論。
就職先を探していた主人公は、ある日ハウスキーパーとして、イケメン社長に雇われる。
それも“結婚”というおまけ付きで。
設定は斬新ですが、作者さんの文章力が、
それを納得させるように、お話に引き込んでいきます。
このお話の最大のポイントは、出てくる食事がどれも皆美味しそうなこと。
何度お腹が鳴り、何度食べたくなったことか。
それくらい、食欲をそそり、誰かと食卓を囲みたくなる温かいお話です。
あなたがいて、私がいる、そんなシンプルな幸せ。
境遇に恵まれなかったふたりが辿りついた、ささやかな幸福論は、静かに胸を打ちます。
俊生さんの、熱くて真っ直ぐなプロポーズも必見ですし、
周りの優しくて個性的なキャラクターたちも、忘れてはいけない陰の主役です。
グルメ小説としても、恋愛小説としても、一級品の本作品。
ぜひ一読して、あなたもこの美味しさと愛おしさを、心ゆくまで味わってみてください。