みち

幸せの形
非凡なきっかけから始まった、平凡な日常。
それは、いつからか“かけがえのない日常”となった。
それに気づくことができる人は、一体どれだけいるのだろうか。
“食”というモノは、“生きる”ということに直結しています。
そこに幸せを見いだせると言う事は、すなわち、幸せな生き方ができることに繋がると私は思います。
「彼女が作った料理」が美味しい。
「彼のために」作りたい。
そうした想いが重なると、人は、ある種それを幸せと呼ぶのかもしれない。

読んで行くうちに、どんどんと愛ちゃんの気持ちに感化されていきます。そしてその、人物像がよく表れているので、俊生さんがなぜ、愛ちゃんに惹かれたのかがよくわかる。とっても魅力的な主人公。
けれど、描かれているのは、ごくごく平凡な日常で。同じように、誰もがみな、主人公になりえるのだと、そう思えます。この物語の魅力は、きっと、そういうところにもあるんだと思います。

そうです。
幸せは、誰かに決められるものではなく“自分が”感じるものなのですから。
タイトルの「食卓論」ですが、この物語は、ある意味で「幸福論」とも取れる作品でした。