理香

素晴らしい作品
物語の冒頭、別れた恋人との再会は目頭が熱くなった。
なぜ「アキ」と「貴浩」が、幸せに結ばれないのかと切なくなった。

「愛されてるって思いたかった。」
「いつも愛されてる自信が持てないから…」

この言葉に脳天を直撃された。
私も同じ事を感じていたから。
世界史から儒教、仏教、あらゆる知識をもってしても、「アキ」自身は救われない。
「最優先事項」になれない深い絶望を肌で感じた。


後半の舞台は大きく変わり、バリへ。
バリの四千年の歴史。
バリにあるのは、美しい海やマリンレジャーだけではなかった。

古い精神文明が、後進のイスラム教に完全に駆逐されることはなく「魔術」として残った話。

ボロブドゥールの仏教遺跡、プランバナンのヒンドゥー教遺跡。

興味深いストーリーは唐突に終わる。

驚きと共に2つの真実を知った。
ジャックの運命。アキの真の目的。

読んだ後はしみじみ考えさせられた。
テロがなぜおこるのか?
宗教の役割とは?
行き過ぎた資本主義について。
傲慢な自国だけの功利的な政策。


素晴らしい作品でした。