雪風

大人の恋愛
女であるがゆえに、どんなに頑張っても男性が先に昇級していく姿を見る羽目になる、主人公の悔しさから物語は幕を開ける。

後輩の響、元彼の隼人、そして主人公の雅。
無駄の無い描写と台詞により、三人の人物像が容易に浮かび上がるほどに、非常に上手く描かれている。

響の行動に戸惑いながらも、その少しの強引さと優しさから徐々に心を解放してゆく雅の姿が清々しい。

後半、雅が隼人との思い出を清算するシーンでは、簡潔な台詞や表現であるにも関わらず、二人の過去や心情が浮かび上がり、少し泣ける。

そしてラスト一頁を開いた瞬間、「だから、か」と思わず呟いてしまう伏線に、ニヤリと笑みがこぼれてしまう。

短い規定の中で、これほど綿密な物語を描ける手腕は、お見事!の一言。

素敵な作品をありがとうございました。

是非、御一読を。