茂
物語の死
いじめと、その周辺
過去と現在と未来を結びながら
話は展開してゆく
小学生の平凡なクラスが
いじめへと流れ着く
子どもたちの心のうねり…すさまじい
めだかの水槽を割り
A子になすりつける
陰湿で、手の込んだいじめ
僕には、想像がつかない
ところが、光はあった
『重苦しい雰囲気のクラスの中に、ひとつ、あたたかな光があった…裕也君だ どんなことがあっても、明るく挨拶していく…全員に…A子にもだった…きっとそれは勇気。それは心。それは灯…』
彼のような存在に物語りは救われる
ところが、その彼をも
いじめの爪牙(そうが)は容赦をしない
ある種の絶望
僕は、そこに
『物語の死』を感じた
ここに描かれるのは
人間とは思えないほどの
冷酷なリアリストたち
彼らは、物語なんか信じないだろう
ほんらい、幼くて
無邪気であるべき彼らが
どうして、こんなにも
物語を信じられなくなったのだろう
せめて、A子の未来に…夢を見たい