温もりを抱きしめて【改訂版】

作者来海 空々瑠

突然、両親に決められた婚約者の家に住むことになった伽耶。そんな彼女に対して、婚約者である要は「絶対に結婚しない」と宣言し、伽耶に冷たい態度で接する。要には恋人がおり、好きでもない相手と結婚できないと言うのが彼の言い分。しかし、あることがきっかけに2人の婚約は意外な展開に進むことに――。

居場所さえあれば、どこでもよかった。

たとえそこに愛がなくたって、

私はそれでよかったのに。



触れてしまった優しさに、

胸が締めつけられて。

泣きたくなる程切ないこの感情が、

私の心を乱れさせた。



求めてはいけなかったのだ。

大事な人がいる、彼に。

所詮政略結婚の道具でしかない私が、

愛されたいなんて淡い願いを。



大財閥の御曹司


西園寺 要

KANAME SAIONJI


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高級老舗旅館の御令嬢


藤島 伽耶

KAYA FUJISHIMA




愛を知らなかった彼女の切ない恋物語。