明治時代、一介の童商人でありながら一代で財を築き、天皇からもその功績を称賛され勲章を授与された名誉を歴史を持つ道三寺《どうさんじ》。その栄華は衰えることなく現在も華々しくかつ屈強にその名を世間に轟かせている。
そんな道三寺の数多くある内の末端の分家、楠木家の末娘、楠木菊《くすのきく》は、本家の跡継ぎ道三時煉矢《どうさんじれんや》の花嫁候補を選定する厳粛な場へと参加する事になる。
華々しい花嫁候補の集まりの中で選ばれる事はないと流れに身を任せ傍観しようとした菊だが何故か多くの花嫁候補の中から最終選定まで残ってしまう。戸惑いの中、道三寺煉矢本人との対面による最終選定が行われ、道三寺煉矢に信じられない一言を告げられる。
それはなんと「そなたを私の花嫁と選定する」--菊を花嫁とするという事だった!?
だが、それにはいくつかの理由が隠されていて……。
旦那様、私は旦那様に何も望みません。
私は旦那様が私を手放す瞬間まで、旦那様の所有物でございます。