源義経黄金伝説 第六章  一一八九年 平泉●義経の最後●

作者飛鳥京香

一一八九年(文治五年)奥州の平泉にて、源義経の最後は、、西行法師の、京都朝廷、東大寺が裏で動いていた。

高館の中、

「もはや、これまでか」義経はうめいている。

「義経様、どうぞ、ご準備のほうを」

 東大寺闇法師、十蔵が、義経そっくりの顔で言う。十蔵は西行の命令で、この地にいる。

「十蔵、私だけが助かる訳にはいかん。私を信じてついてきてくれた郎党たちも、助けてくれ」

「義経様、それは無理というもの」

 義経の回りには弁慶始め郎党たちが、取り囲んでいる。皆、覚悟を決めていた。

「どうぞ義経様、お逃げくだされ。我々はここで討ち死にし申す」

弁慶が涙ながらに言う。

「そうです。それが日の本のため」他の郎党も続けた。

「どうか頼朝殿に無念をはらされよ」

「弁慶、自分だけいい子になるなよ」

「よろしいですか。義経様は我々の宝。いえ、この日本の黄金じゃ、どうか生

き延びてくだされ」