源義経黄金伝説 第九章 一一九五年 奈良東大寺●頼朝将軍、京都へ

作者飛鳥京香

栄西と重源の会話。頼朝が奥州征伐のおり、かなりの砂金を手に入れたと聞くが。ほかの金脈の行方は、西行がだれに託したのか?

重源は、栄西にもすべてを語るわけにはいかなかった。

「それよ、栄西殿。西行殿は、はっきり申されぬうちに、亡くなってしまった」

「もしや、頼朝が沙金を…。」

「うむ、頼朝殿奥州征伐のおり、かなりの砂金を手に入れたと聞く。この砂金をつかい、今の地位を得たという話じゃ」

「もしや、西行殿が義経殿の命の安全を図るために、砂金を使うという、、、」

「そうだ。その可能性はある。西行が、あの沙金を義経殿の命と引き換えにしたということは考えられるの」

西行の入寂後、なぜ、重源は、東大寺の大仏殿裏山を切り崩したのか。あるいは、あの裏山に奥州藤原氏の黄金が、と栄西は考えた。

では、頼朝よりの寄進とされる黄金は、ひよっとして、西行が運び込んだ秘密の黄金かもしれぬ。では、その黄金を、頼朝からの寄進とすることで西行が頼朝が得たものとは何か?