源義経黄金伝説第十章 鎌倉・将軍の夜●頼朝暗殺計画・鬼一方眼最後の戦い

作者飛鳥京香

伊豆からの春嵐がふきすさぶ。鬼一法眼と文覚の最後の勝負。丹毒で頼朝は一週間ともたぬ。ならば、鎌倉幕府が持たないのか?

義経が奥州平泉で襲撃されて十年がすぎている。義行は、義経のことを、日々の勉学に聞き及んではいた。

「この俺があなた様のために、亡くなられた西行法師殿より預かっているものがござる。それをお渡ししよう。また和子の存在を知っている者が、京に一人おられた」

「おられたと。その方も…」

「そうじゃ、七年前にお隠れなられた後白河法皇じゃ。その方の指令がまだ生きておる。頼朝をあやめられよと」

「頼朝をあやめると…」

「じゃが、よーく聞いてくだされ。源頼朝殿、殺すも自在じゃ。なぜなら、この鬼一法眼、全国に散らばる山伏の組織を握っております。和子を鎌倉に行かせるは自在。が、西行殿、そして義経殿が義行に望んでおったことは、和子が平和な一生を終えられることです。また平和な郷を作られることです。この書状には奥州藤原氏よりの沙金のありか書いてございます」